交通事故の被害者になると保険会社との交渉がやっかい

2020-03-06

交通事故というのは、自動車が道路を走っている限り全国どこでも、そして誰でも被害者になってしまう可能性のあるものです。交通事故に遭遇してもっとも辛いのは事故による負傷でしょう。しかしそれと同じくらい辛いのが交通事故を起こした加害者との示談交渉です。

特に100パーセントこちらが被害者だった場合は被害者本人が保険会社と示談交渉しなければいけません。

→交通事故被害者の交通費請求について

相手が100パーセント過失だった場合は保険会社は助けてくれない

交通事故が発生した場合、交通事故の状況をチェックして加害者側と被害者側のどちらに過失があるかを判断します。もし加害者側が自動車を運転していて、被害者側が歩行者だった場合は歩行者が基本的には弱者なので交通ルールをしっかりと守っていれば自動車側が100パーセント過失となる場合が多いです。

そして過失の割合が決まれば示談交渉をすることになります。このときに厄介なのが、100パーセント加害者側が過失だった場合は被害者側の保険会社は一切助けてくれず、被害者自身が直接加害者と示談交渉しなければいけない、という点です。

どうして被害者側が痛い目に遭っているのに保険会社は助けてくれないのだろう、と思ってしまう人も居るかもしれませんが、保険会社は「保険を使うこと」になった場合しか助けてくれません。例えば被害者側にも何らかの過失があった場合は被害者側も保険金を負担することとなります。

保険会社側の立場からすれば支払う保険金は少ないに越したことはありません。この場合は少しでも支払う保険金を少なくしようと一生懸命助けてくれるでしょう。しかし相手側の過失が100パーセントだった場合は、被害者側の保険会社が加害者側に保険金を支払う必要はありません。

特に「もらい事故」の場合はほぼ過失は100パーセント加害者側となります。したがって示談交渉に関しては保険会社の助けを一切借りることが出来ず、自分自身で交渉しなければいけないのです。

加害者側の保険会社は賠償金を少しでも少なくしようと考えている

こちらは被害者だから、相手の保険会社もそのことを十分に考慮して示談交渉に応じてくれるだろうと考えている人も多いかもしれませんが、世の中そんなに甘くはありません。

被害者側の保険会社はこちらに何らかの過失があった場合にのみ、交渉の協力をしてくれるという事は先に話した通りです。そして協力してくれる理由はこちらが支払う保険金を少しでも少なくするためだということも解説しました。

これは加害者側の保険会社もまったく同じ考えです。つまり、加害者側の保険会社も、「少しでも自分の保険会社の支払いを少なくしようと考えて交渉に応じてくる」のだという事を頭に入れておいて示談交渉に臨みましょう。

交通事故の示談交渉においては保険会社が大まかな慰謝料を提示してくれます。しかしその金額というのは実際に被害者が受け取るに値する金額と比較すると大幅に少ないことが多いのです。

示談交渉の流れを把握しておこう

保険会社との示談交渉をスムーズにおこなうためには、実際に示談交渉がどのような流れで進められるのかを把握しておくことがとても大事です。まず交通事故が発生すると警察による実況見分がおこなわれます。この時点で加害者側が保険会社に連絡していればすぐに相手の保険会社から連絡が入ってくるでしょう。

しかし場合によっては加害者側がパニックになっていたり、時にはわざと保険会社に連絡をしないこともあります。ケガを負ってしまって相手に配慮する余裕はないかもしれませんが、かならず加害者側には保険会社に連絡するように指示しましょう。

相手の保険会社に連絡をすれば事故によるケガの治療は相手の保険会社が支払ってくれるはずですが、念のために治療費は後払いではなく、全額負担してもらうように指示してください。実際の示談交渉は事故によるケガが完治、またはこれ以上よくならないと医師が判断し、「症状固定」とみなされてからになります。

もしケガが完治せずに何らかの後遺症が認められる場合は、かならず「後遺障害認定」の手続きをおこないましょう。実際に示談交渉をする際には領収書など各種書類が必要になります。どういった書類が必要かについては相手側の保険会社からも指示がありますし、相談であればこちらの保険会社も応じてくれるので積極的に利用しましょう。

加害者側の保険会社は、各種書類に応じて損害賠償額を提示します。被害者側がその金額で納得すれば示談は成立ですが、納得いかないのであればさらに交渉は継続することとなります。

→通学中に起こる交通事故の特徴や加害者が被害者に対して負う責任について

もし治療費の打ち切りを告げられたら

被害者側としては納得いくまで治療を受けたいところですが、加害者側の保険会社によっては明らかに治療中なのに突然「治療費の支払いを打ち切ります」と告げてくることがあります。被害者側からすれば納得いかない対応ではありますが、実は交通事故の世界においては「DMK136」という基準が設けられています。

これは打撲の場合は治療期間が1か月、むち打ちの場合は治療期間が3か月、骨折の場合は治療期間が6か月といった基準が定められていて、この期間を過ぎると保険会社側は治療が長すぎるのでないかと判断するのです。しかしひとくちに打撲、むちうち、といっても症状は千差万別です。

特にむちうちなどは3か月程度ではまったく症状が改善しないというケースも多々あります。治療が必要かどうかの判断は保険会社が決めるものではなく、実際に治療を施している医師がするものです。たとえ保険会社から打ち切りを迫られて実際に打ち切られたとしても、ひとまず治療費は自分で支払わなければいけませんが、あとで残りのお金を請求できます。

医師が治療終了を告げるまでは保険会社の言いなりにならずに治療を続けましょう。

→交通事故の被害者の統計とそこから読み取れること

納得いかない場合は専門家に相談しよう

保険会社側は数えきれないほど交通事故の示談交渉の対応をしてきたので、被害者本人が直接交渉してもなかなか良い返事をもらえないことも多いです。

もし何度交渉しても加害者側の保険会社が納得いく回答を出してくれないのであれば、専門家に遠慮なく相談しましょう。「日本損害保険協会」という機関では、専門家が加害者側の保険会社と被害者側の保険会社との間に立って、トラブルの解決を補助してくれます。

利用する際にお金は一切かからないので、まずは個々に相談してみるのがよいでしょう。また弁護士に相談し、示談交渉を依頼すれば被害者本人に代わって保険会社と交渉してくれます。「弁護士基準」という基準に則って交渉するので、保険会社が提示する損害賠償金よりも大幅に金額がアップするケースが多いです。

保険会社のいいなりにならないようにしよう

交通事故の示談交渉において、加害者側の保険会社は少しでも自分の会社の支払いを少なくすることを最優先に交渉に応じてきます。ときには治療中であっても勝手に治療費の支払いを打ち切ろうとしてきますが、決して保険会社のいいなりになってはいけません。

困ったときは無料で相談にのってくれる機関がいくつかあるので、積極的に利用するとよいでしょう。