交通事故の被害者が知っておきたい供述調書

2020-03-08

交通事故の被害に遭ってしまったときには警察官によって色々な話を聞かれるでしょう。警察官は徹底した調査をすることによってどのような事故だったのかを確認していますが、その間に作成される書類の一つとして供述調書があります。

供述調書は被害者にとってとても重要な書類になるので、被害者が知っておくと役に立つポイントを押さえておきましょう。

→交通事故の被害者の統計とそこから読み取れること

供述調書とは

供述調書とは警察官や検察官による調査によって作成される交通事故に関する書類の一つです。事故が発生したときの状況を事実として書き留めておくための書類として位置付けられていて、必ず供述をした人たちに確認をしてサインと捺印をすることを求めます。

関連する人たちが全員確かにこの供述内容で正しいと納得する内容に仕上げるのが供述調書で、公的な証拠書類として保管される仕組みになっています。この際の関連する人というのは加害者と被害者だけではありません。その交通事故の現場で間接的に関わった人や目撃者も含まれます。

例えば、自転車と自動車が衝突事故を起こしたときに、実は自転車が歩行者を避けたところで自動車にはねられたとしましょう。この場合には歩行者についても交通事故に深い関わりがあると見なされて供述を求められることになります。

また、それを近くのマンションのベランダから見ていたり、同じ道路でジョギングをしていて目にしたりした目撃者も関連する人として任意ではあるものの供述を求められるのが一般的です。このようにして関連する人たちからそれぞれ聞き取り調査を行い、書類に簡単にまとめることで供述調書ができあがります。

全員からの聞き取りを終えたところでそれぞれに内容を確認してもらって署名押印をしてもらうことで公的書類として完成します。

供述調書が被害者にとって重要な理由

このようにして作成された供述調書は被害者にとって重要な役割を果たします。交通事故の被害に遭ってしまったときには怪我をしたり、車や自転車などが壊れてしまったり、怪我や物損によって仕事ができなくなったりすることがあるでしょう。

怪我で入学試験を受けられなくなって大学進学を断念せざるを得なくなる、就職活動の面接に行けなくなる、重要な取引の会議に出席できなくなるなどといった場合もあるかもしれません。また、交通事故による怪我やショックで後遺症を負ってしまう場合や、ひどい場合には亡くなってしまうこともあるでしょう。

このような被害について加害者に訴えかける権利が被害者にはあります。損害賠償や慰謝料を請求するときに供述調書が重要な根拠になるのです。

→交通事故の被害者になったときに知っておきたい、損害賠償請求の基礎知識

加害者にとっても重要になる

実は加害者にとっても供述調書が重要な書類になります。この内容次第で自動車保険や損害賠償保険などの保険金がどのくらい下りるかが変わる可能性があるからです。自動車保険や損害賠償保険などの保険には細かな規定が設けられていて、契約の内容によっては特例も設けられていることがあります。

その内容と交通事故の状況を照らし合わせて、本当に条件に該当しているかどうかを保険会社が審査します。保険会社としては支給額を少しでも減らさなければ自社の損失になるので、必死にあら捜しをして条件を満たさない部分を見つけ出そうとすることも珍しくありません。

この際に供述調書を証拠書類として用いるため、保険金が下りるかどうかを左右する重要な意味を持つのです。また、加害者にとっても被害者にとっても過失割合を決める証拠になるという意味でも重要性があります。交通事故は100%加害者の過失によってもたらされるとは限りません。

自動車同士の事故の場合には特に被害者側にも過失が大きかったという判断になることが多く、内容の微妙な違いによって過失割合が大きく変わることが知られています。はっきりとした基準が設けられているわけではなく、過去の事例や判例から判断してどのような過失割合が適当かを考えることになるからです。

→スクーターを運転していた私が交通事故の被害者になったときの体験談

被害者が対応するときに重要なポイント

供述調書を作成するために警察官から聞き取りをされるときに被害者はどのような点に注意したら良いのでしょうか。端的に言ってしまえば自分に不利になるようなことは言わず、かつ虚偽の発言は一切しないことです。特に被害者の場合には交通事故の影響でよく覚えていないという論理が通用します。

よく思い出してくださいと言われるかもしれませんが、自分は覚えていないという主張をしても最終的には警察官は受け入れざるを得ないので心配ありません。事故状況のことを全部覚えていないと言ってしまうと、例えば車が赤信号を無視してきた、若い男性が目撃していたといった情報も信憑性が失われるといったリスクもあります。

ただ、余計なことを言ったために過失割合が大きくなるリスクがあるので注意しましょう。また、怪我はしていないか、痛いところはないかといったことを聞かれる場合もあります。この際に大丈夫だと言ってしまうと怪我はないと供述調書には記載されてしまいます。

実際にはあちこちに打撲ができていて病院に行った、むち打ち症になっていたけれど当日は我慢していて後日病院で診察を受けたというケースもあるでしょう。この際の治療費を加害者に請求したいと思ったときに、交通事故とは関連性のない打撲やむち打ち症ではないかと言われてしまうリスクがあります。

痛いかもしれないようなところは痛いと伝えておいた方が安心です。たった一言のミスが大きな損につながる可能性があると考えて対応しましょう。

最後に確認しておくべきこと

供述調書の対応で最後に確認しておくべきなのが全体の内容です。供述調書を見せられたときに隅々まで読むようにしましょう。すぐにサインするように促されてしまいがちですが、全部を読んで確かに正しいと納得してからサインするのが大切です。

誤りがある場合には訂正を求め、その場でサインをしないようにしましょう。サインをしてしまうともう修正できないので注意が必要です。

供述調書の聞き取りは慎重に受けよう

交通事故の被害に遭ってしまったときには治療費や損害賠償、慰謝料などの請求をすることになります。供述調書の内容はその根拠として用いられる重要なものなので真実の内容かどうかを確認しましょう。最終的にサインをしてしまうと内容が正しいと納得したと示すことになるので、誤りがある場合は訂正を強く求めるのが大切です。